カミングアウトが差別の始まりに 住宅性能評価機関勤務 小川さんの場合
スポーツも勉強もできる、明るい未来を純粋に信じている高校生だったんです、あの事故が起こるまでは。
器械体操の練習で転落したんですよ。病院では「頭を打って、記憶が飛ぶって、よくあるんです。成績が悪くなったらまた来てください」と軽く言われただけでした。リハビリなんて当然ないです。
後遺症として記憶障害が残りました。聞いたそばから忘れてしまうんですよね。こんな自分を知ったら誰からも相手にされないと思ってたので、誰にも言えなかった。当初は足し算もできなかったんです。「頑張ったら回復するはずだ」と信じて、絶対に病院に行きたくなかったんです。隠れるようにメモをして記憶を補い、必死で普通のふりをしていました。勉強しても覚えられないし、三浪したけど大学はすべて不合格でした。これじゃ就職できないなと悩みに悩んで、専門学校へ行きました。当時はバブル時代でしたから、箔をつけるため留学もしました。
就職してからも、いつか大失敗をしてクビになるのではないかと、不安で眠れないわけです。普通の人に見えるように、必死にメモしたり、自分用にマニュアルを作ったりして、工夫を重ねました。ミスがないように何度もチェックをするので、人より何倍も時間がかかります。早く出勤して、そして仕事を持ち帰るのも当たり前でした。それだけ頑張っても、障害のせいで、問題が生じてしまうわけです。なんとかならないかと、ビジネス本を読みあさって、株の勉強も始めました。
お金が稼げると、自信が戻ってきて、この時に結婚しました。妻が、切迫流産になりそうになって、僕が家事を担当することになったんです。料理を作ると、奥さんが喜んでくれるから楽しかったんですね。そうしたら、ひとつのことだったらメモを取らなくてもできるようになったんですよ。とても画期的! 人に愛情を注ぐと、脳に別の回路ができるってテレビで見たんですよ。あ~これはホントだなと実感しました。
仕事では、それからも色々と大変でしたよ。闘いの日々です。ミスをするのではないかといつも緊張していました。仕事の量が膨大になり、これ以上は隠せないと思って、障害を開示したんです。分かってほしいという気持ちでした。しかし、今度は差別を受けました。あまりのストレスで倒れたこともあります。結局、解決のきっかけは、僕が高次脳機能障害支援センターと繋がった、そして障害にやや理解がある上司がついたことでしょうかね。障害を知らない、無知であることがどれほど人を苦しめるか、これまでの人生で身をもって知ったので、今は、啓発活動に力を入れています
インタビュー記事
スポーツも勉強もできる、明るい未来を純粋に信じている高校生だったんです、あの事故が起こるまでは。
器械体操の練習で転落したんですよ。病院では「頭を打って、記憶が飛ぶって、よくあるんです。成績が悪くなったらまた来てください」と軽く言われただけでした。リハビリなんて当然ないです。
後遺症として記憶障害が残りました。聞いたそばから忘れてしまうんですよね。こんな自分を知ったら誰からも相手にされないと思ってたので、誰にも言えなかった。当初は足し算もできなかったんです。「頑張ったら回復するはずだ」と信じて、絶対に病院に行きたくなかったんです。隠れるようにメモをして記憶を補い、必死で普通のふりをしていました。勉強しても覚えられないし、三浪したけど大学はすべて不合格でした。これじゃ就職できないなと悩みに悩んで、専門学校へ行きました。当時はバブル時代でしたから、箔をつけるため留学もしました。
就職してからも、いつか大失敗をしてクビになるのではないかと、不安で眠れないわけです。普通の人に見えるように、必死にメモしたり、自分用にマニュアルを作ったりして、工夫を重ねました。ミスがないように何度もチェックをするので、人より何倍も時間がかかります。早く出勤して、そして仕事を持ち帰るのも当たり前でした。それだけ頑張っても、障害のせいで、問題が生じてしまうわけです。なんとかならないかと、ビジネス本を読みあさって、株の勉強も始めました。
お金が稼げると、自信が戻ってきて、この時に結婚しました。妻が、切迫流産になりそうになって、僕が家事を担当することになったんです。料理を作ると、奥さんが喜んでくれるから楽しかったんですね。そうしたら、ひとつのことだったらメモを取らなくてもできるようになったんですよ。とても画期的! 人に愛情を注ぐと、脳に別の回路ができるってテレビで見たんですよ。あ~これはホントだなと実感しました。
仕事では、それからも色々と大変でしたよ。闘いの日々です。ミスをするのではないかといつも緊張していました。仕事の量が膨大になり、これ以上は隠せないと思って、障害を開示したんです。分かってほしいという気持ちでした。しかし、今度は差別を受けました。あまりのストレスで倒れたこともあります。結局、解決のきっかけは、僕が高次脳機能障害支援センターと繋がった、そして障害にやや理解がある上司がついたことでしょうかね。障害を知らない、無知であることがどれほど人を苦しめるか、これまでの人生で身をもって知ったので、今は、啓発活動に力を入れています。
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